だって、恋したいもん!

第八十二話  ずれてる







演奏が始まった。


けど……



あれ?

入るタイミングがわからない…



義雄「ストップストップ」


義雄「どうしたの?」

と、彼が私の方を見て声をかけてくれた。

理佐「あ、ごめんなさい…ちょっとタイミングがわからなくて…」

義雄「もう1回やってみよっか?」

理佐「うん…」


そしてもう一度スティックのカウントが鳴り演奏が始まった。


あれ?

やっぱりタイミングがわからない…


義雄「入り方難しいかな?」

理佐「うん……だいぶ聞きながら練習したんだけどなぁ…」

義雄「じゃあオレらだけで1回やってみるから入るタイミングはかってみて」

理佐「うん……」


そう言って彼らだけで演奏してみてくれた。



義雄「どお?」

理佐「うん、何となくわかったかも」

義雄「カウントの4でオレら入るから、キーボードはその次の1で入るといいよ」

理佐「うんわかった、やってみる」

義雄「オッケー、じゃあもう1回頼むわ」


と、彼の号令でもう一度演奏が始まった。


今度こそうまく……



あれ…?

ちょっとずれてるよ……ね……?


義雄「やっぱ難しい?」

理佐「うん…テープと合わせてる時となんだか少し違ってて…」

義雄「この曲はギターとさえ合わせられれば大丈夫だから少し二人でやってみようか?」

理佐「うん、ごめんね…」

義雄「ごめんみんな、ちょっと二人で合わせてみるから……」

斉藤「おー!そんなに二人っきりになりたいのかー?♪」

義雄「違うしー!」


茜「あっ!じゃあさ斉藤くん、ちょっとドラム教えてよ!」

美波「あー!あたしもー!かっちん教えてよぉー♪」


義雄「あ、そうだ!小林さん、オレのカバンに言ってたプリプリのバンドスコア入ってるから出してみて」

由依「あ、ありがとう♪」


そう言ってそれぞれが練習を始めた。


義雄「じゃあね、オレがカウントの4で入るでしょ?そして渡邉さんが次の1で入るから、タタタンのタンで入ってみて」

理佐「うん、わかった」

義雄「じゃあいくよ」


タタタン…タン、タン、タン、タンタタタン♪


義雄「あー、そうそう!その入り方だよ!」

理佐「あー、わかった♪」

義雄「じゃあもう1回やってみよっか」

理佐「うん♪」


タタタン…タン、タン、タン、タンタタタン♪


義雄「おー!そうそう、ばっちりじゃん♪」

理佐「そっかぁー、そう言うことか!♪」

義雄「オッケー、じゃあみんなで合わせてみよっか?」

理佐「うん♪」


義雄「ごめーん!もう1回みんなでやってみてくれるー?」

茜「何ー?もう出来たのー?」

斉藤「オッケー、じゃあカウントとるぞー!」


ワン、ツー、スリー


タタタン…タン、タン、タン、タンタタタン♪


由依「おーー!!♪」
美波「おーー!!♪」
茜「おーー!!♪」
尾関「おーー!!♪」


義雄「オッケー!♪」


と、イントロの部分で演奏が止まった。


義雄「ばっちりじゃん、渡邉さん♪」

理佐「うん、わかった!もう大丈夫♪」

義雄「よし、じゃあ通しでやってみっか!」


と、また彼の号令で演奏が始まった。







第八十三話へつづく…











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