だって、恋したいもん!
第八十三話 正式に…
そして彼の号令でドラムの斉藤くんがカウントをとり始め演奏が始まった。
AメロからBメロ、そしてサビ…
うん、順調に出来てる♪
そして2番…
うん、ここも順調♪
そして間奏を挟んでいよいよキーボードのソロだ!
うまく出来るかな…?
ふと彼の方に視線をやると、
彼もこちらを期待の眼差しで見ている…
わぁー、緊張するなぁー
でも頑張って練習したんだもん!
上手く出来るよ!
そう言い聞かせた私の指はさっきまでの心配をよそに滑らかに鍵盤の上を滑っている♪
うん、大丈夫♪
上手く出来てる♪
と思った瞬間、隣の白鍵の音が少し出てしまった!
あ、いけない!
ミスタッチしちゃった!
ふと彼の顔を見てみると舌を出して微笑んでた…
そして小さくうなずいていた。
やっぱりわかるんだー
でも何とか弾ききった。
そして彼のギターソロ♪
ここから一気にハードになる。
私はついていくのに必死だったけど、
彼らの演奏を間近に見て圧倒されていた。
そして演奏が終わり一瞬の沈黙があったけど、
その後すぐに私たちガールズバンドのメンバー四人が拍手をすると、
いつの間にか教室の外に集まっていた生徒たち数人からも拍手がおきた。
みんながそれぞれ顔を見合わせて安堵の表情がもれた。
義雄「渡邉さん、すごいよ!♪」
理佐「え、でも失敗しちゃった…」
義雄「全然大丈夫!あれぐらい他の人にはわかんないよ!
理佐「え、でも……」
義雄「大丈夫だよ! でもホントオレこの曲ずっとやりたかったんだけど、これ弾ける人がいなくて…」
理佐「そうなの…?」
理佐「私で役に立ててよかった♪」
義雄「うん、ホント正式にメンバーに入ってもらいたいぐらいだよ」
理佐「え……」
茜「ダメだよ、それは!!」
美波「そうそう、あたしたちの大切なメンバーなんだから!1曲だけって約束でしょ?」
由依「そうだね、まぁ『正式に彼女にしたい』てなら考えなくもないけど♪」
義雄「え……」
理佐「え、ちょっと由依……!!」
斉藤「おうおう!何かまた熱くなってきたなーこの部屋ー!!♪」
と、皆の笑いに溢れて和やかな雰囲気になった。
第八十四話へつづく…