溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
どうやら、晃汰さんがアメリカに留学していた時の知り合いらしい。私がまだ晃汰さんと知り合う前の話だ。
「久しぶりに水瀬君と会えると思ったら、結婚したなんて風の噂で聞いて。挙式の写真も見せてもらったわ。自分の秘書と一緒になったとかいうから驚いて」
ずきっと、かけられた言葉に胸が痛む。
驚いたなんて言葉は、オブラートに包んだ厭味のように感じてしまう。
「秘書としてそばにいて狙ってたっていう、そういう感じなのかしら?」
「ち、違います!」
つい大きな声が出てしまい、ハッとして自分の感情を抑えた。
今はプライベートな時間ではない。晃汰さんの秘書としてここに来ている。
いくら厭味な言葉をかけられたとしても、ぐっとこらえて笑みを見せるくらいでなければならない。それが私の務めだ。
だけど、そう思う気持ちとは裏腹に、やはり結婚が公になって私に対する批判は実は多くあるのだろうと痛感する。
秘書としてそばにいて、じわじわと落としたのだろう。到底つり合わないのに、なにか色仕掛けでもしたのだろうか。
誰もがそんな憶測を抱いてもおかしなことではない。
やはり、晃汰さんと私の結婚は、誰が見ても首を傾げるものなのかもしれない。