溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「特にはない。大丈夫だ」
「そうですか。では、お邪魔はしないで、私はそろそろ寝ますね」
ドアを閉めようとしたところで晃汰さんが立ち上がる。ノートパソコンをぱたりと閉じた。
「気のせいかもしれないが、なにかあったか」
「え……?」
「心なしか、元気がないような気がする」
思いも寄らぬ指摘をされ、ドキッとした。
今日は五十嵐さんの一件から、マイナス思考に拍車がかかってしまっている。
考えても仕方のないことをぐるぐると考えて、完全に負のスパイラルに陥っている状態だ。
「そうですか? なにもないですよ」
でも、そんなこと素直に話せない。彼女は晃汰さんの仕事上付き合いのある相手だ。
実は紹介してもらうよりも前に個人的に話したことだって、言わないほうがいいに決まっている。
ドアの前に立つ私のもとまでやってきた晃汰さんは、正面からそっと私を抱き寄せる。包み込むような優しい力で抱きしめられた。