溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 晃汰さんから少し事情を聞いている。

 菜々恵さんと漣さんは以前一緒に働いていて、お互い惹かれ合いお付き合いをしていたものの、身分差による誤解が生じ、離れ離れになってしまったらしい。

 その後、菜々恵さんは漣さんの子を身ごもっていることがわかり、ひとり実家で出産。

 三年間、ひとりで月くんと詩ちゃんを育てたという。

 大変な苦労をされたけれど、後に漣さんが三人を迎えに行き、今は花ちゃんという家族も増えて幸せに暮らしているのは、おとぎ話みたいな素敵な現実だ。


「そうですよね。ひとりでも大変なのに、双子ちゃんって本当に大変だと思います」

「単純に二倍ですからね」


 そう言ってふふっと笑う菜々恵さんだけど、きっと悩んだり、時には泣いたこともあったに違いない。

 そうやって様々なことを乗り越えてきたからこそ、今こうして思い返しても笑顔でいられるのだろう。


「千尋さんは、子どもが欲しいとかは……?」


 菜々恵さんは「ごめんなさい」と続いて謝罪を口にする。


「デリケートな話題なので、もし答えにくかったら流してください」

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