溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「ふぅ……」
気が抜けた吐息がひとりきりのパウダールームに静かに落ちる。
お見合いの席に入ってから、約二時間。
コース料理が全て終わり、お手洗いに立った。
父親の会社関係の方とのご縁ということで、粗相のないように常に緊張していた。
お相手は、私より二歳年上の小室徹さん。
父親の経営する自動車部品メーカーの取引先で、車体のパーツを製造している会社の社長ご子孫だ。いずれ会社を継ぐそうで、次期代表取締役となる肩書きの方だ。
第一印象は爽やかで好印象。趣味が釣りとアウトドアというのも好感が持てた。
「なんか……顔が疲れてるな」
鏡に映る自分の顔にまたため息が漏れる。
やっぱり、こういう席ってだけで疲労感半端ないもんなんだな……。
互いの両親を交えて食事をしながら、それほど堅苦しい感じでもなく歓談をした。
本人同士よりも両親同士が話している時間が圧倒的に多く、当の本人たちは微笑を浮かべて頷いていたような雰囲気だった。
それだけでも、やはり知らぬ間に緊張しているものなのだろう。