溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「あまり、過去のことは聞いてこなかったけど、毎年とはいかなくても、イルミネーションを観に来る相手くらいいただろ?」
「それが……就職してからは一度も」
「え、嘘だろう?」
「嘘じゃないですよ」
どうしてそんなに驚かれるのかはわからないけれど、晃汰さんはわずかに目を大きくして驚いた。
「そうだったのか……てっきり、仕事の後は充実したプライベートを送っているのかと思っていた」
「そんなわけないじゃないですか。特に初めの頃は仕事でいっぱいいっぱいで、帰ってバタンキューでしたよ」
ブラックだとか、時間外勤務が多いというわけではまったくないけれど、気を張ってミスなく仕事をしようと思うと、毎日帰りは疲れていることが多かった。
「自分から聞いておいて、ちょっと後悔していたところだった」
「え? 後悔、ですか……?」
「過去の他の誰かとの思い出を語られたら、聞かなければよかったと思いそうだったから」
思わず目を丸くする。
晃汰さんがそんなことを思うなんて意外すぎる。私の過去のことなんてまったく興味ないと思っていた。なんだか嬉しくなってくる。