溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「勤め先の、お世話になっている水瀬院長」
そう知らされた母親はハッと驚いたような顔をし、水瀬院長に向かって深々と頭を下げる。
「いつも千尋がお世話になっております」
母親から頭を下げられた水瀬院長は「いえ」と端整な顔に微笑を浮かべた。
「お世話をしてもらっているのは私のほうです。彼女の優秀な仕事で、いつも完璧にサポートしてもらっていますので」
仕事上の付き合いなどでいつも見せるような穏やかで人当たりのいい調子で、水瀬院長は私のことを母親に話す。
私を評価する言葉がさらりと出てきたことに、嬉しい気持ちが湧き起こった。
「そうですか。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」
母親がそう挨拶をした時だった。
にこやかだった表情が無になり、一点を見つめる。そして次の瞬間には胸元を押さえ、一気に表情を歪めてうずくまった。