溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「どうしました?」
繋ぐ手についギュッと力がこもり、千尋がこっちを見上げる。
「いや……こういう時間を、大切にしようと思ってた」
「え……?」
今このタイミングでそれを丁寧に説明するのがなんとなく気恥ずかしくて、「なんでもない」とごまかした。
「あ、ここ入ってもいいですか?」
子どもブランドが並ぶフロアへ入り、千尋が俺の手を引く。
「わぁ……ちっちゃい。サイズ感がもうかわいい」
かわいらしい小さな服に目移りしながら、千尋が歓喜の声を上げる。
新生児の衣類が並ぶコーナーで足を止め、千尋はビニールに包まれる真っ白い肌着を手に取った。
優しい、朗らかな横顔。すでに母親の表情を見せている新たな彼女の顔に、どきりと胸が高鳴る。
もうすぐ迎える息子のために必要なものを買い求めながら、初めて感じる人生の喜びに心打たれていた。