溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「大丈夫か」
ぼんやりしている私に、そばで付き添ってくれている晃汰さんが声をかけてくれる。
顔を向けると、真顔で心配そうに私を見つめていた。
「気分は悪くないか」
「はい、大丈夫です。あの、でも上を向いているのが辛いので、少し横を向いても大丈夫ですかね? 腕の点滴が」
「ああ、大丈夫だ。楽な姿勢になっていい」
点滴の位置を手早く動かし、晃汰さんが私が体勢を変えるのをサポートする。
点滴の針がずれていないかもチェックしてくれた。
「ありがとうございます」
「そばにいるから、少しでもなにかあれば言って。体勢を変えたいとかも」
「はい、わかりました」
「なにかするか。映画は、観てきちゃったが、なにか観たいものでもあれば用意する」
気遣われて、晃汰さんに向かって点滴が繋がれていないほうの手を差し出す。
晃汰さんは黙ってその手を取ってくれた。
「晃汰さんと、お話しできていたらそれでいいです」
「そうか。そんなことならお安い御用だ」
手を握ったまま、晃汰さんは他愛のない話題で私の緊張を紛らわせてくれる。
時間は着々と過ぎていき、点滴を始めてからあっという間に一時間が過ぎていた。