溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
今少し前までいつも通り元気で、笑って話し食事をしていた。
それなのに、今、目の前で苦しんでいる母親の姿が信じられない。
「大丈夫だ。考えようだが、発作のタイミングで俺が居合わしたことは幸運だということ」
「院長……」
確かに、今ここで水瀬院長に会っていなければ、どうしていたかわからない。
救急車を呼ぶことさえまごついて、この場で助けの叫び声をあげていたに違いない。
そうこうしているうちに、救急隊員が現場に駆け付ける。
救急隊員はたまたま水瀬院長と顔見知りだったらしく、「先生の病院に搬送で?」と尋ねていた。
母親が救急車に乗せられ、水瀬院長と共に父親と私も一緒に乗り込む。
救急車に乗り込むと、水瀬院長はすぐに母親に酸素吸入を開始する。
処置の様子をただ見守ることしかできず、不安はただただ募っていく。
手元で重ね合わせる手には自然と力が入り、きつく握り合わせていた。
サイレンを鳴らしながら。緊急車両はノンストップで水瀬総合病院へと向かっていった。