溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
毎日通っている職場に、自分が救急車で乗り付けるという初めての体験をしてから約一時間。
緊急搬送された母親の診断結果は、水瀬院長の言っていた通り急性心筋梗塞と診断された。
迅速な対応によって一命をとりとめたものの、やはり今から緊急のオペが必要だと告げられ、再び別の不安が胸を襲う。
「心筋梗塞というものは、冠動脈が詰まって血液が流れなくなり、心臓を動かす心筋という筋肉に血液が届かなくなって、筋肉が壊死してしまう病気です」
水瀬院長からの説明を、父親は真剣な面持ちで聞いている。
私も一緒になって水瀬先生の話に聞き入る。
「冠動脈は三つあって、その三つがひとつでも詰まると今回のような症状を発症します。検査の結果、小野寺さんは二本の冠動脈に詰まりが確認できました。このまま緊急でオペに入らせてもらえたらと思います」
病状の説明をし、水瀬院長はオペの同意を求める。
「あの、先生。オペとは……」
急なことで、父親はホテルの廊下で母親が倒れてから動揺を隠しきれていない。
処置を待つ間、『母さんは大丈夫だよな?』と何度も私に確認を取るように訊いていた。