溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る
「冠動脈バイパス手術です。簡単に説明すると、冠動脈の詰まった箇所を迂回して、新たな血管を繋ぐ手術になります」
冠動脈バイパス手術……。
医師や看護師ではないから詳しくはわからないけれど、冠動脈バイパス手術は難しい手術だと認識している。
直径二ミリ程度の血管を、髪の毛より細い糸で繋ぎ合わせる高度な技術のいるオペだ。
また、オペ時間が長ければ合併症を引き起こす危険性もあるため、オペ時間もスピードが要求される。
「発症六時間以内に適切な処置をすれば、九割の方が助かります」
「今からすぐオペをしていただけるんですね?」
「はい。同意を得られればすぐにでも」
水瀬院長の言葉に、父親は即答で「お願いします」と頭を下げる。
水瀬院長は「ありがとうございます」と言って椅子を立ち上がった。
「では、すぐにオペの手配をさせていただきます」
話を終え父親を待合いに連れていき、すぐに水瀬院長の元へ戻る。
「院長っ」
忙しなくオペの準備に入ろうとカウンセリングルームを出ていこうとする水瀬院長を呼び止める。
水瀬院長は足を止め、再び戻ってきた私をじっと見つめた。