溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 その日の晩。

 面会可能時刻の二十一時を回ろうとした頃、私は母親の入院することになった個室の病室の中にいた。

 手術は無事成功。水瀬院長は宣言通り滞りなく、かつスピードをもって母親のオペを終えてくれた。

 一時間ほど前から徐々に麻酔も切れはじめ、母親は意識も戻り会話もできる状態に落ち着いた。


「心配かけちゃったわね」


 横になったままそう口にした母親に小さく横に首を振る。

 再び会話ができる状態にまで落ち着いて、やっと安堵に胸を撫で下ろしていた。

 ずっと極限の緊張の中だった。

 オペを待っている間、永遠の時間の中にいるような、これまで感じたことのない不安に襲われていた。


「良かったよ。すぐに処置してもらえて」

「本当ね。院長先生には、なんとお礼したらいいのか」

「うん……」


 オペが終わった時、普段と変わらぬ様子で『問題ない』とオペの成功を知らせてくれた水瀬院長。

 父親も私も何度も『ありがとうございました』と言い、下げた頭を上げられなかった。

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