溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「水瀬院長。少し、お時間いただけますでしょうか」


 水瀬院長は今日はこのまま帰宅の予定。このあとに仕事関係の付き合いなどの会食も入っていない。

 私の退職について言い出しやすいタイミングだ。

 自分のデスクにかけ、ノートパソコンの画面に向かっていた水瀬院長は院長室に入ってきた私に目を向ける。


「どうした」

「あ、はい。これを、お願いします」


 デスクのすぐそばで一礼し、両手で届をデスクの上にそっと載せる。

 封筒を手に取った水瀬院長は、そこに書かれていた文字に目を落とし、私へと視線を寄越した。


「退職願? なんだ、どういうことだ」

「はい。三月いっぱいで退職させていただきたく、届を失礼しました」

「そんなことを訊いているんじゃない。急にどうしたのかと訊いているんだが」


 水瀬院長にしてみれば確かに急な申し出。だけど、私にとってみればもうずいぶん前から決めてきたことだ。


「そろそろ結婚を視野に入れる頃合いで。そのために、仕事は一旦退職を決めました」

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