溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


「偉いな。これは期待度高いな」

「あの、でも私の作るものは一般庶民的なメニューばかりですので、院長のお口に合うものかどうかは」

「なんだそれ。俺だっていち一般庶民だから」

「いえいえ、そんなことは」


 そんな会話をしながら、食材を見て回る。

 お米売り場で五キロの袋を持ち上げようとした時だった。


「あっ、すみません」


 すかさず代わりに重い米を持ってカートに載せてくれる。

 こんな風に女性に対する気遣いのようなことをされると、不覚にもどきりとしてしまう。

 それに、今日は私のペースに合わせて行動してくれているように思える。

 普段仕事中は、こうして並んで歩くことはほとんどない。私の前を水瀬院長がすたすた歩き、私がそれを追っていくようなスタイルだ。

 それが、今日は私の歩幅に合わせてくれていて、どんどん先に行くこともない。

 これまで見たことのない水瀬院長の姿を垣間見て、変に緊張が高まる。

 とりあえず冷蔵庫にあったら使い回しのできる食材をはじめ、基本の調味料などを買い揃えていく。

 買い物を終えると、ふたりで並んで持ってきた買い物バッグに商品を詰めていった。

 ふと、こんな風に晃汰さんとスーパーマーケットで食材の買い出しをしていることを不思議に思う。

 ちらりと横に並ぶ晃汰さんに視線を向け、商品を手に詰めていく姿をついジッと見つめてしまう。

 やっぱり不思議だなと思いながら、気付かれないうちに視線をかごの中の商品へと戻した。

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