私だけを濡らす雨/ハードバージョン
顛末



”事件”はその衝撃的な背景もあって、テレビのワイドショーをはじめ、各マスコミがセンセーショナルに報じた

何しろ死亡した20代の若い女は実に刑事民事あわせて裁判12件を抱える”現役”被告の身で、彼女を刺した男は裁判の原告、更に暴行を加えたのはその原告の弟なのだ

加えて、そこの現場にいた女の妹の証言で、その女の仰天たる異常行動が次々を明らかにされ、大いに世間を騒がせることとなったのだ


***


結局、その事件の背後の状況から、郡氷子を死亡させた桜木正樹は正当防衛が認められ、罪に問われることはなかった

事件が終息すると、今度は極めて尋常を逸脱した凶暴な姉のもとでずっとおびえ続けて生きてきた中学2年の妹へ、世間の同情が集中した

天涯孤独となった14歳の少女のもとには、全国から多くの養子縁組や里親の申し出などが殺到した

友人の親たちからも…

しかし、それは多分に姉氷子の残した財産目当てであったとも言えた

彼女は何と20代で、グレ-ゾーン撤廃前の高金利時代、闇金暴力金融スキームのマックスを張った違法サラ金業で莫大な利益を収めていたのである


***


当のツグミは、マスコミ報道でそこが知れ渡った世間の下心を十分感じ取っていた

結局、ツグミ自身の希望もあり、社会に出て自立できるまでの期間、今回のまことに複雑な加害者関係を要擁する、近隣在住の桜木家が実質ツグミの身元を引きとるという形で落ち着いた

やがて、けがが完治した桜木兄弟と郡ツグミとの奇妙な共同生活がスタートした…

そして、それから1年の月日が流れると、まだ中学生の郡ツグミは、生前の姉氷子が推察していた本性を見事に晒していた

無論、それは表に出ないウラってことで…




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