冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

思い切って伝えると、駆さんは少しだけ驚いたように目を開き手を離す。

その後、数秒私たちは見つめ合った。

こちらを見つめる駆さんの瞳が、少しだけ色っぽい。
昨日の名残を感じて、カーッと全身が熱くなり私はとっさに目線を逸らした。

『じゃあ、行ってきます。駆さんもお仕事頑張ってください』

『ああ』

自ら沈黙を破り、彼と別れる。
駆さんが何を伝えてくれるのかは……正直期待はしてしまうけれど、なんとも言えない。
私自身が伝えたいことは『駆さんが好き』という事実だ。

タクシーがブレーキを踏み、意識が戻された。
荷物置き場から自分のフライトバックを運び出している時も、自分の部屋に戻っても駆さんのことが一向に頭から離れない。
こうやって男性を強く思うことが初めてで戸惑ってしまう。

(いつの間に、こんなに恋しちゃったんだろう)
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