冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

一番近しい男に好きな女性が好意を持つことに、大きなショックを受けた。
のと同時に、あいつには既に将来を約束した女性がいるから、村瀬は絶対に傷つくことになる。
それが目に見えて、なんとか自分の手で幸せにしたいという思いが、日に日に膨れ上がっていった。


(もし仮に村瀬が結婚してくれたら、さらに伊織に嫉妬しそうだな。それだけが気がかりだ)


とはいえ、ここは乗り切るしかない。
もう五年、彼女しか見えていないのだ。
何度も諦めようとしたのにできなかったのだから、突き進むしかない。
そして欲を言えば、俺のことを好きになってもらい本当の夫婦になりたい。

不安と期待が入り交じり、忙しなく動く心臓は落ち着つく気配がない。

(今からスムーズに事が進むように準備を進めなくては。これが絶対にラストチャンスになる)

そんなことを考えながら、俺はその場に立ち上がった――。

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