星と月と恋の話
「…しょっぱ…!」

結月君は、慌てて水筒のお茶を飲んでいた。

…なんか、あの。

…ごめん。

「結月君はあれよ…。そう、当たりを引いたのよ。この大きなオムライスの一口で、塩の塊を引くなんて。今日の結月君の運勢は大吉」

「…げほっ、げほっ…。大凶の間違いでしょ…」

ごめんって。

「調味料を使うときは…塩や砂糖が固まってないか、ちゃんと確認して入れましょうよ」

「ごめんなちゃい…」

「塩の味しかしませんでしたよ」

残念。

むしろ、結月君は私を救ってくれたのね。

塩の塊を、結月君が引き受けてくれた。

「評価は?何点?」

「3点。見た目だけは良かったので」

「わーい…」

あの辛口な結月君から、例え3点でも、点数を引き出したことを喜ぼう。

「それは何点満点中の3点?」

「10点満点です」

10点満点中の3点か。

意外と低かったわ。

味の評価はしてもらわなくて良いのかって?

…良いのよ。

「味じゃなくてね、結月君。頑張ってることを褒めて欲しいのよ。私頑張ってるじゃない?三日坊主にならずに、ちゃんとお弁当作ってるじゃない?」

「それは偉いですけど、調味料が古くなってないか、固まってないか、ちゃんと確認して使ってくれたらもっと偉かったですね」

「まぁまぁ、細かいことは気にせず」

「気にするでしょ…。そこそこ大きかったですよ、今の塩…」

大丈夫大丈夫。

それはあれ、ほら。

結月君の為に、塩分補給だよ。

最近暖かくなってきたしね。塩はちゃんと摂らないとね。

…。

…うん。

「次は頑張るわ。次は」

「…宜しく…」

人間は失敗から学ぶ生き物だって、結月君も言ってたし。

次は、気をつけて作るわ。
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