星と月と恋の話
その日の放課後。

今日は部活がないので、結月君と一緒に帰…っても良いのだが。

今日は水曜日。

そう、結月君の行きつけのスーパーのセール日である。

一緒に買い物に行くのは、危険極まりない。

料理には慣れてきたものの、あのスーパーにはどうしても慣れることは出来ない。

どうしよっかな。途中まででも一緒に帰るか。

それとも…と、考えていると。

「星ちゃん」

「あ。湯野っち、どうしたの?」

湯野っちが、私に声をかけてきた。

「これから、皆でカラオケ行こうって話になってるんだけど。星ちゃんも混ざらない?」

え、マジで?

それは思ってもないお誘い。

「良いよー。行く行く」

湯野っちとカラオケなんて、一体いつぶりよ。

折角同じクラスになったんだから、また一緒に遊びに行きたいわ。

すると。

「…!衝撃です。湯野さんの…悪癖でないお友達…!?」

…久露花さんが、何故かこちらを見ながら愕然としてるんだけど。

一体何のこと?私のこと?

ちょっとよく分かんないが。

久露花さんも一緒に行きたいのかな?

折角だから、久露花さんも誘ってみようか。

「ねぇ、湯野っち」

「何?」

「久露花さんも誘ってみて良い?確か湯野っちって、去年久露花さんと同じクラスで…」

交友もあったんじゃないか、と聞こうとしたら。

湯野っちは、びっくりしたように目を見開き。

そして、噴き出すように笑った。

「ちょっと、冗談やめてよ星ちゃん」

…え?

「電波ちゃんとカラオケとか、何の罰ゲームよ。絶対やだ」

「え…。あ、そう…」

「馬鹿なこと言ってないで、さっさと行きましょ。部屋は押さえてあるからさ」

馬鹿なこと…って。

馬鹿なことを言った覚えは…。

なんとも言えない、もやもやした思いを抱えながら。

私は湯野っちと一緒に教室を出た。

なんか、久露花さんに悪いことをしてしまった気分…。
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