素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 そう言って彼は胸に抱き寄せたから、その切実な響きの声を出した表情は見えない。あったかくて何よりもどこよりも安心させてくれるその場所で、いくら考えてもゴトフリーが何を怖がっているのかは、一度も実った恋を失ったことのないアリスにはわからなかった。自分はきっとずっと今抱きしめてくれている彼のことを好きだし、この気持ちが消えてしまうことなんて想像も出来ない。

 自分から見るとこんなに完璧な人なのに、どうして自信を持てなくなってしまっているのだろうか。どうしたらすこしでも彼を安心させてあげられるだろうか。言葉だけではきっと足りない。態度に表しているつもりだけど、まだまだなのかもしれない。

 時間をかけてでも、この彼への想いをまっすぐに伝えたかった。
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