社長は身代わり婚約者を溺愛する
「10時。それまでには、準備できてないと。」

「はい。」

残り1時間もない。

急いで準備しないと、信一郎さんに見つかってしまう。

「私達、会議に出席する訳じゃないですよね。」

「当たり前でしょ。」

「すみません。」

それを聞いて、ほっと一安心。

要するに、さっさと準備を終わらせ、信一郎さんが来る前に、大会議室から出ればセーフだ。


私と下沢さんは、大会議室に入ると、段ボールの中に入っていた資料とお茶を、急いで置いて行った。

「なんか、森井さん。張り切ってるね。」

「はい。私、こういうの得意なんです。」

次々と置いて行くスピードに、下沢さんも感心している。

「と言う事は、森井さん。事務職に向いてるのかもね。」

「有難うございます!」

頭を下げる余裕もなくて、私は次々と資料とお茶を置いた。

「はい、終わり!」

下沢さんが、終了のコールをした。

時間を見ると、残り25分を切っている。

やったあ!

私は密かにガッツポーズをした。
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