社長は身代わり婚約者を溺愛する
「ええっと、後は……」

下沢さんが、最終チェックに入る。

「あっ!ペン忘れて来た。」

「ペン⁉ペンも用意するんですか⁉」

それぐらい自分で、持ってくるでしょ⁉

「一応ね。しかも、事務室から持って来てないや。俺持ってくるから。森井さん、ここで待ってて。」

「えっ!下沢さん?」

「直ぐに持ってくるから。」

そう言って下沢さんは、大会議室を出て行ってしまった。


ウソ!間に合うの⁉

少なくても10分前、ううん15分前には出なきゃいけないのに!

早く、早く来て!下沢さん!

ああ、願うだけってこうもイライラするものだった?

時計の針が、やけに早く進んでいるような気がした。


その時だ。

5,6人の人が、大会議室に入って来た。

「生田部長。今日の会議、暇ですね。」

「大した議題もない。社長のパフォーマンスだよ。」

部長達。こんなにいるなんて、大きな会社なんだ。

「ところで。社長の結婚が間近という噂を聞いたんですが。」

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