社長は身代わり婚約者を溺愛する
「仕方ないよ。」

私はゆっくりと、起き上がった。

「もう、仕事に戻るね。」

「いや、今日は念の為、早く帰れって部長が言ってた。」


家に早く帰っても、ただ泣くしかできない。

「無理すんなよ。愚痴なら、俺が聞くからさ。」

下沢さん、いつの間にか友達みたいになっている。

「分かりました。じゃあ、帰ります。」

「うん。」

下沢さんと一緒に、オフィスに戻ると、部長が心配して近づいてきてくれた。


「大丈夫?森井さん。」

「はい、ご心配おかけしました。」

「今日は大事をとって、早退してね。」

「はい。」

周りからの視線が痛い。

皆、倒れた事知っているのかな。


「俺、森井さんの事、下まで送ってきます。」

「頼んだぞ、下沢。」

そして下沢さんとオフィスを出て、エレベーターで1階まで降りた。

「俺、森井さんの味方だから。」

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