社長は身代わり婚約者を溺愛する
「今日は、どこに行くの?」

お母さんは、私がどこに出かけるのか、心配らしい。

「芹香とお茶。」

「こんな時に、芹香ちゃんと会うの?」


お母さんは、芹香のせいで私が信一郎さんと別れたと思っているらしい。

「芹香は、関係ないから。」

そう言って私は自分の家を出た。

そう。芹香のせいで、別れた訳じゃない。

私がずっと、芹香の真似をしていたのが悪かったのだ。

そう思うしかなかった。


芹香との待ち合わせは、いつものカフェにした。

「あっ、礼奈。」

何も知らない芹香は、いつもの笑顔だ。

「待たせてごめん。」

「ううん。私も今、来たところだし。」

そして、芹香が注文したコーヒーが運ばれてきた。

「私も、同じものをお願いします。」

「かしこまりました。」

店員さんが行った後、芹香は私に顔を近づけた。

「ねえ、黒崎さんとの事は、どうなってるの?」
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