社長は身代わり婚約者を溺愛する
すると信一郎さんは、お父さんに頭を下げた。

「改めまして。礼奈さんとお付き合いさせて頂いています、黒崎信一郎と言います。」

「黒崎?どこかで、聞いた事あるな。」

信一郎さんは、頭を上げて不思議がっている。

「信一郎君。お父さんの名前は?」

「黒崎……純一です。」

お父さんは、頭を抱えた。

「あいつの息子か。」


って、えっ⁉お父さん、信一郎さんのお父さんの事、知ってるの?

私と信一郎さんは、顔を見合わせた。


「父をご存じですか?」

「知ってるも何も、中学の時の後輩だ。」

「後輩⁉」

中学の時の後輩が、信一郎さんのお父さんって、どんな交友関係してるのよ!

「若い時に結婚したって聞いていたが、まさかこんな大きな息子がいたなんて。」

待って。お父さん、感慨深そうに言っている?

もしかしたら、私達の事、認めてくれそう?


「仕方ない。まあ、仲良くやれよ。」

「はいっ、お父さん。」

信一郎さんのお父さん呼ばわりで、お父さんは複雑な表情だ。
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