社長は身代わり婚約者を溺愛する
そして、お父さんがお母さんの元に、戻ろうとした時だ。

「お父さん、折り入ってご相談があります。」

「いっ!」

お父さんの足が止まった。

そして、ゴクンと息を飲む。

「いや、今はいい。」

「今がいいんです。」

信一郎さんは、お父さんの腕を掴んだ。

「いや、まだ早いだろ。」

「早くありません。むしろ、遅い方です。」

「礼奈は、まだ25だぞ。」

「はい?」

信一郎さんとお父さんが、見つめ合う。


「何の話をしているんだ?」

「お父さんの方こそ、話がずれていませんか?」

お父さん、もしかして……

「結婚の話だと、思ってたの?」

私が代わりに言ってあげると、信一郎さんはえっ!と驚いた。

「そうじゃないのか。」

「はい。なんか、すみません。」

信一郎さん、悪くないのに謝っているよ。
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