社長は身代わり婚約者を溺愛する
「じゃあ、何なんだ。話って。」

「はい。」

信一郎さんは、一枚の書類をお父さんに渡した。

「これは?」

「我が社との、業務提携の提案書です。」

「業務提携⁉」

私とお父さんは、口を揃えて言った。

「お父さん、この工場を僕に援助させて下さい。」

「援助⁉」


私は、だんだん事が大きくなると察した。

「援助させて頂ければ、工場も倒産を免れるでしょう。」

「それはそうだけど……どうして、こんな工場に?」

「礼奈さんがいるからです。」

待って!信一郎さん、それはこの工場に、魅力を感じてないんじゃないの?

「ダメだよ!信一郎さん!」

私は、信一郎さんの腕を掴んだ。

「そんなの、ダメ!無駄にお金を使うなんて。」

「おい、礼奈。」

「お父さんには悪いけれど、もう工場は成長しないよ。」

私は半泣きだった。

信一郎さんに、これ以上迷惑掛けたくない。
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