社長は身代わり婚約者を溺愛する

第15話 結婚してくれたら

信一郎さんに、資料を貰ったお父さんは、夕食後もそれを見つめていた。

「お父さん、そんなに難しい話なの?」

私は、その資料を見せて貰った。


普通に援助するってだけ、書いてあると思うんだけど。

「簡単過ぎて、信頼できねえ。」

「ん?どういう事?」

「金だけ出すって、何か裏があるんじゃねえのか?」

「……見返りを求められた方がいいって事?」

「当たり前よ。仕事はギブアンドテイクだからな。」


そうか。お父さん、信一郎さんの優しさだけじゃ、納得できないんだね。

「私、信一郎さんに話してみるよ。」

「ああ。」

私はスマホを持って、縁側に出た。


『はい、信一郎です。』

「信一郎さん、さっきの業務提携の話なんだけど。」

『ああ。お父さん、納得してくれた?』

柔らかい声。

本当は仕事の話なんて、したくない。

「お父さん、お金だけ出して貰うだけじゃ、信頼できないんだって。」

『えっ?もっと何か欲しいって事?』

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