社長は身代わり婚約者を溺愛する
そして、信一郎さんの家に、私達は入った。

玄関の閉まる音がすると、信一郎さんは私にキスをした。

「礼奈、たまらないよ。」

信一郎さんは、我慢できなとばかりに、上着を脱ぐ。

「信一郎さん……」

激しいキスをして、そのまま寝室に向かった。

ベッドに二人でダイブして、そこでもキスをした。


「信一郎さん、有難う。」

「礼奈?」

「お父さんの事も、今夜の事も。何で返したらいいか、分からない程。」

すると信一郎さんは、ニコッと笑った。

「俺と結婚してくれたら、それでいいよ。」

「えっ?」

結婚⁉ 私と⁉

「沢井の家じゃないとダメだって、言ってなかった?」

「それは、断ったよ。」

胸がじーんと熱くなる。

「家は裏切れないって、言ってた。」

「その前に、自分も礼奈も、裏切れないよ。」

私は信一郎さんを、抱きしめた。

「今夜は、本当の礼奈を抱けるね。」

私は、うんと頷いた。
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