社長は身代わり婚約者を溺愛する

第16話 慰謝料

それから、3日ほど経った頃だ。

芹香が、今すぐに会いたいと言ってきたので、仕事が終わってから、芹香と外で会った。

いつも夜の時間に会う時は、芹香の家で会っていたのに、今日は家はまずいと言う。

お店に入って、どうしたの?と聞くと、芹香は青い顔をしていた。

「まずいの。礼奈が私の代わりになっていた事、お父さんにバレたみたい。」

「えっ⁉」

「正式に、信一郎さんからお見合いの断りが入ったみたいなの。」

そう言えばこの前、お見合いを断ったって、信一郎さん言っていた。

「そこで、いろいろ聞いちゃったらしいんだよね。」

「私が、芹香の代わりになっていた事を?」

「そう。」

芹香は、頼んだ生ビールを一気に飲み干した。


「てっきり私と上手くいっていると思っていたみたいだから、すごく怒られて。」

「ごめん。」

私は芹香に、頭を下げた。

「いいのよ。でも、私もいろいろ聞かれてね。」

「どういう事聞かれた?」

「礼奈の事を聞かれたけれど、知らないって言っておいた。」

安心したのは、芹香のお父さんに、私も怒られると思ったから?

「でも、黒崎さん。思い切った事をしたわよね。」

「えっ?」

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