社長は身代わり婚約者を溺愛する
「お父さんに、他の家のお嬢さんと結婚しますって言ったらしいわよ。」

ドキッとした。

「それって、礼奈の事で合ってる?」

「たぶん。」

この前、結婚したらいいよって、言ってくれたけれど、それはプロポーズだったのかな。

「んもう!そんなところまで、話は進んでるの?」

ビールをお代わりした芹香は、私の話に酔ってるみたいだ。


「社長に見染められて、結婚かぁ。玉の輿だね。」

芹香は、うっとりとしている。

「芹香だって、社長と結婚できるじゃない。」

「家が決めた結婚は、嫌なのよ。あーあ。私も見染められたい。」

本日2杯目のビールを飲み干して、芹香は頬杖をついた。


「でも、そういう理由で、家はダメだったんだね。ごめんね。」

「いいって。私もたまに外で飲みたいし。」

私の事を気遣ってくれたなんて、芹香は優しい。

「それよりも、今後どうなるの?」

私は一番気になった事を、芹香に聞いてみた。

「どうなるって、信一郎さんは私との結婚を断ったんだもの。それだけよ。」

「それだけかな。」

私は、ちょっと不安になっていた。
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