社長は身代わり婚約者を溺愛する
芹香は、おつまみのポテトを口に入れる。

「何が心配なの?」

「芹香のお父さん、何かしてこないかな。」

「うーん。」

芹香は一生懸命、考えてくれている。

「今のところは、分からない。」

「そうだよね。」


第一、信一郎さんに結婚を断られたって、芹香の家なら結婚話は腐る程あるだろうし。

「ただ、お父さんがこの結婚、乗り気だったのは確かなのよね。」

「えっ?」

「ほら、偽の私だったとしても、上手くいっているって言う話を聞いていたからじゃない?」

「そんな!」

私が芹香の代わりをした事で、裏でそんな事になっていたなんて。

「今まで結婚を断っていた私が、今回の結婚は乗り気。でも、結婚は相手から断られた。なぜうちの娘が⁉って事になってるかも。」

「どうしよう。」

「どうしようって言ったって、黒崎さんは礼奈としか、結婚する気ないんだもんね。」


嬉しいような、騒がしい話。

何かあったら、信一郎さんに何て言おう。

「そんなに、黒崎さんと結婚したいんだ。」

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