社長は身代わり婚約者を溺愛する
「と言っても、払いきれないのは目に見えてるからな。」

「じゃあ、少なくしてくれるのか。」

「5,000万にしてやる。」

半分でも5,000万。

そんなお金、ないんだってばあ!


「どうした?政略結婚が破断になるというのは、こういう事だぞ。」

芹香のお父さんは、ニヤニヤしている。

結婚は破断になって、1億の融資はなくなったけれど、ウチから5,000万取れるって、本気で思ってるんだ。


「芹香のお父さん。」

「なんだ?」

「最初に、芹香がこのお見合いを断って欲しいと言っている時点で、この政略結婚は不成立です。」

そうだよ。

芹香だって、望んでいなかった。

芹香は、親の決めた結婚なんて、嫌がっていたから。

「その後、信一郎君からぜひお嬢さんと交際させてくださいって、電話があったんだよ。」

うっ!信一郎さん、そんな電話してたの?

「まあ、中身は君だったようだが?普通に、芹香と付き合うと思うよな。」

それに関しては、何も言えない。

「当然、こちらとしては、政略結婚を進める訳だ。」

芹香のお父さんが言う事は、当たっている。

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