社長は身代わり婚約者を溺愛する
「見て、あの男の人、カッコいい。」

「乗ってる車もいいわよね。」

周囲の人も、信一郎さんを褒めている。

「一緒にいる女の子は、彼女さん?」

「それにしては、地味じゃない?」

そして私は、そんな信一郎さんに似合わない。

でも……


「信一郎さん、どうしたの?」

「礼奈の姿を見たら、会いたくなった。」

そして、信一郎さんは私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「信一郎さん、苦しい。」

「ごめん。俺の我儘。」

そんな信一郎さんと、一緒にいたくてたまらないの。


その時、芹香の姿が目に飛び込んで来た。

「芹香……」

「お店を出たと思えば、早速イチャついているのね。」

芹香はため息をついた。

信一郎さんは、私を放すと芹香にお辞儀をした。

「初めまして、かな。黒崎信一郎です。」

「沢井芹香です。」
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