社長は身代わり婚約者を溺愛する
さすがは、お金持ち二人が会うだけで、凄いオーラが出ている。

「何だか、初めて会った気、しませんね。」

「そうですね。」

二人は作り笑いをしている。

それが愛想笑いに見えても、二人の出会いは、笑えたものじゃない。


「父が、私とあなたの結婚を望んでいたようです。」

「ええ。礼奈から聞きました。僕のほんの勘違いで。」

「勘違い……」

芹香はふっと笑った。

「礼奈に騙されたの、間違いでしょ。」

胸がズキッとなった。

芹香、今になって代わりになっていたのを、気にしているの?


「確かに。我々は、騙されていたのかもしれない。」

私は一歩後ろに下がった。

二人だけの世界のような気がして、居たたまれない。

「でも……」

その時、信一郎さんが私を片手で、抱き寄せた。

「今は、その事を幸いだと思っています。」

そして信一郎さんは、私にウィンクをした。

「……裏で、被害を被った人がいても?」

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