社長は身代わり婚約者を溺愛する
その部屋に、芹香が入って来た。

芹香、上等なワンピースを着て、化粧もしている。

本気だ。


私は、庭から窓際に移動した。

中の会話が、聞こえるようにだ。


「本日は、いらっしゃって頂き、有難うございます。」

芹香のお父さんが、挨拶をする。

「今回の結婚の話を、まとめたいと思っています。」

やっぱり、結婚ありきの話だった!

「その前に、芹香さんのお気持ちは、どうなんですか。」

信一郎さんが、芹香に聞いている。

ああ、もう少し移動できたら、芹香の表情も見られるのに。


「私は、黒崎さんと結婚したいと思っています。」

「それは、本心ですか。」

離れていても、二人のピリピリとした空気が伝わってくる。

「一度決めた事です。気持ちは変わりません。」

芹香、こんな時でも頑固なんだから。

「少々、芹香さんの事を、調べさせて頂きました。」

信一郎さんが、何か書類を出している。

「芹香さんには、お付き合いしている方が、いらっしゃいますね。」
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