社長は身代わり婚約者を溺愛する
パーティーの日、私は黒のワンピースを着て、階段を降りた。

「あら、お嬢様の登場ね。」

お母さんが階段の下で、私を待っていた。

「お嬢様じゃないよ。」

「大丈夫よ。そう見えるから。」

そんな言葉を掛けられて、嬉しくもあり複雑な気持ちになった。

「招待状、持った?」

「持った。」

「楽しんでくるのよ。」

私は頷いて、ヒールのある靴を履いた。


「やっぱり、若い時は綺麗よね。」

「えっ?」

お母さんは私を見て、ため息をつく。

「何ていうの。身体から光が見えるのよね。」

「お母さん、大丈夫?」

身体から光って、若いってそんなにいいの?

「年を取ると、くすんできて。イヤね、歳を取るって。」

そんな事言われても、困る。


「お母さんだって、若い時があったでしょ。」

「その時に、パーティーなんてなかったわ。」

何か、笑ってしまった。
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