社長は身代わり婚約者を溺愛する
「私だって、人生で初のパーティーだよ。」

そう言ったら、お母さんも笑っていた。

「行ってらっしゃい。」

「行ってきまーす。」

お母さんに挨拶をして、家を出た。


芹香の家までは、歩いて行ける。

余裕で道を歩いていると、芹香の家に向かって、車が通って行く。

きっとあの人達も、芹香に呼ばれたのだろう。

すると、一台の車が私の横に停まった。

「すみません。沢井家のお屋敷は、こちらで合っていますか?」

見ると、お人形さんように可愛い女の子が乗っていた。

「はい、もう少し行けば、見えてきますよ。」

「ありがとうございます。」

その女の子は、声まで可愛い。

全く、お嬢様と言うのは、くじ引きで当たりを引いた人達なのだろう。


角を曲がると、沢井家の玄関があった。

当然、車がたくさん集まっている。

その中からお嬢様と言う名の女の子達が、一人また一人と降りて来る。

そして、さっき車から芹香の家の屋敷を聞かれた女の子と、目が合った。

「ああ、さっきの……」

「どうも。」
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