社長は身代わり婚約者を溺愛する
私は、一応頭を下げた。

「あなたも沢井家のパーティーに呼ばれたの?」

「ええ。」

「へえ。」

そのお嬢様は、私をじーっと見ている。

「失礼ですけど、お名前は?」

「森井礼奈です。」

「森井さん?聞いた事ないけれど、お父様はどちらの社長さん?」

あーあ。棘のあるような言い方?

「森井産業ですけど。」

「そうだったの?知らなかったわ、ごめんなさい。」

ぱぁーっと笑うその笑顔が、眩しい。

お嬢様は、笑顔も一級品だ。


「私、沢井家のお嬢様、芹香さん?高校の同級生で。」

「へえ。」

確か芹香は、超お嬢様学校に通っていたって言っていた。

「大学もそのまま進学されると思っていたのに、他の大学に行かれたので、バラバラになってしまって。」

そこで芹香は、私に出会ったのよね。

「だから、会うのは数年ぶりなの。」

「そうだったんですね。」

知らぬ間に、私も口調が丁寧になる。
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