社長は身代わり婚約者を溺愛する
「礼奈さんは?芹香さんとどういうご関係?」

「私は、大学の同級生で。」

「まあ、大学の同級生なのね。素敵。」

素敵かどうかは分からないけれど、そう言って貰えるなら安心する。

「さあ、そろそろ行きましょうか。」

「はい、えっと……」

「五十嵐香澄よ。礼奈さん。」

「ありがとう、香澄さん。」


お互いの名前を知ったところで、私達は芹香の家の中に入った。

「香澄さん!」

彼女の顔を見た途端、芹香が近づいてくる。

「芹香さん!」

二人はがっちり握手している。

「お久しぶりだわ。元気にしている?」

「ええ、元気よ。芹香さんもお元気そうで。」

挨拶を終えた二人は、握手したままニコニコしている。

会話が続かないのだろうか。


「そう言えば、そこで森井産業のお嬢様に出会ったの。」

「森井産業?」

芹香はふと私を見て、ふふふと意味深に笑った。

「誰かと思ったら、礼奈じゃない。」

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