社長は身代わり婚約者を溺愛する

第23話 もう嫌いか

信一郎さんに別れを言ってから、毎日のように電話が架かってくるようになった。

【俺は別れたくない。信じてくれ、礼奈。】

そんなメールもきた。

私だって、別れたくなかった。

信一郎さんは、運命の人だって思っていたから。

でも、私達の知らないところで、大きな渦が邪魔しているのが見える。

それに抗える力がないのだ。


「信一郎さん……」

悔しくて泣いた。

私にもっと力があったら。

芹香と同等の力があったら、信一郎さんとの事は絶対に負けないのに。


「喧嘩でもしたの?」

いつの間にか、お母さんが側に寄ってきていた。

「ううん。」

「でも、最近信一郎さんの話、しないわよね。」

お母さんは、ちゃんと私を見ている。

「別れたの。」

「あら、どうして?」

「この前の芹香のパーティー、信一郎さんと芹香の婚約パーティーだったの。」

「えっ⁉」

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