社長は身代わり婚約者を溺愛する
「当たり前じゃない。」

「どうすれば、信じてくれる?俺は芹香さんと結婚しないって。」


そんな事、言われたって……

あるとすれば、私が信一郎さんの家に認められた相手だって、自信が持てたら。


「礼奈。教えて。」

「……信一郎さんの家の人に、婚約者だって認められたら。」

そんな事、あり得る訳ないけれど。

でも、信一郎さんは違ったみたい。

「いい考えかも。」

「えっ?」

「俺の両親が、礼奈を認めてくれればいいんだ。」

信一郎さんは、私の手を引いて立ち上がった。

私も一緒に立ち上がると、信一郎さんは私を見つめてくれた。


「行こう、俺の家に。」

「今から?」

「思い立ったが吉日って言うだろ。」

そう言うと信一郎さんは、私を連れて玄関に向かった。

「お父さん、お母さん。ちょっと礼奈を借ります。」

「あ、ああ。」

そして信一郎さんは、家を出ると、私を乗せて車を走らせた。
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