社長は身代わり婚約者を溺愛する
「えっ?生産が追い付かない?」

「発注が、いつもの2~3倍あって。それで、信一郎さんのところで、工場勤務できる人いない?」

「俺の会社で?」

「前働いていた人に声掛けたんだけど、皆忙しくてうんと言ってくれなかったのよ。」

もちろん、信一郎さんの会社で働いている人が、工場勤務なんてやった事ないとは思うけれど、言わずにはいられなかった。


「……知り合いの会社で、工場勤務の派遣をしている奴がいるから、そこに頼むよ。」

「ありがとう、信一郎さん。」

やっぱり、さすがは信一郎さん!

「でも、派遣するまで数日はかかるな。よし!」

信一郎さんは、何かを考え付いたみたいだ。

「会社の奴ら、数人で手伝いに行くよ。」

「えっ?」

「なに、任せておけ。」

「うん……」

そして電話を切れた。

信一郎さん、手伝いに来るって、仕事大丈夫なのかな。


「信一郎君、何だって?」

「会社の人、数人で手伝いに来るって。」

「おっ、手伝いに来てくれるのか。助かる。」

直ぐに信一郎さんに甘えるお父さんも、どうかと思うけれど。

「私は、休み取らなきゃな。はっ、有休あるのかな。」

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