社長は身代わり婚約者を溺愛する
「信じないの?黒崎さんの事。」

そう言われて、胸がズキッとした。

私は、信一郎さんの事、信じていない?


「じゃあ、逆に考えてみたら?」

「逆って?」

「黒崎さんが、本当は御曹司じゃなかったとしたら?」

「えっ……」


信一郎さんさんが、庶民の人だったら?

だって、美術館だって、水族館だって、信一郎さんの家のお金で動いていた。

「そんな事は……」

「例えばの話よ。」

例えば、信一郎さんが普通のサラリーマンだったら?

ううん。答えは変わらない。

信一郎さんは、信一郎さんだ。

好きな気持ちは、変わらない。


「どうやら、私が思っていた通りの答えのようだね。」

「芹香……」

「礼奈は、十分魅力的な女性だよ。信一郎さんだって、そう思っている。」

でも、私の心は晴れなかった。

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