社長は身代わり婚約者を溺愛する
それから数日経ってからだ。

相変わらず私の仕事は、書類のチェックで、その業務にも慣れてきた。

「下沢さん、チェック終わりました。」

「おお!もう終わった?だんだん早くなってきてるね。」

褒められて嬉しいなんて、私は学生か!

そう思ったけれど、大人でも褒められると嬉しい。


「そうだ。今日は備品の発注するから、見てて。来週からやって貰うから。」

「はい。」

下沢さんが、それぞれの課の発注書を見ながら、パソコンに入力していく。

私はそれをメモしながら、説明を聞いていく。

「それで、1回の注文が3,000円以内になると、送料かかるから注意して。」

「その時はどうするんですか?」

「余裕があるから、他に頼む物がないか聞く。」

「ああ、はい。」

私は急いで、その事をメモに取った。

「でも、あまりにも少ない場合は、翌週に回す事もある。」

「ええー、あまりにも少ない場合って言うのは、1,000円とかですかね。」

「うん、まあ、そんなもん。」

下沢さんの説明は丁寧で、メモを取る時間も十分くれる。

優しい先輩だ。
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