社長は身代わり婚約者を溺愛する
信一郎さんの事を思ったら、他の男の人と、二人で飲みに行くのは嫌だと思う。

私だって、逆の立場だったら、嫌だな。

「ああ、彼氏でもいるの?」

「はい。」

「そっか。じゃあ、今度歓送迎会でも開くから、その時に飲もう。」

「はいっ!」

元気よく返事をして、オフィスを出ると、信一郎さんから電話がかかってきた。


「はい。」

『ああ、芹香?今日、時間ある?」

「はい。あります。」

『じゃあ、ご飯食べて行こうか。』

「はい、行きます。」

待ち合わせの時間と場所を聞いて、私は嬉しそうに電話を切った。


「なるほど。森井さんは、彼氏さんの事大好きなんだね。」

下沢さんの言い方に、ちょっと笑えた。

「そう思いましたか。」

「思った。すっげー、嬉しそうにしてるんだもん。」

信一郎さんと会えると思うと、とても嬉しいんだよね。

「なんか、森井さんの彼氏に会ってみたい。」

「えっ……」

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