社長は身代わり婚約者を溺愛する
まさか、この会社の社長と付き合っているだなんて、下沢さんには言えない。

「そんな、会わせられません。」

「ええー!意地悪だな。」

「だって下沢さん、ケチつけそうなんですもん。」

きっと、社長と付き合っているなんて言ったら、下沢さん。

私は社長に似合わないって、絶対言う。

「ケチはつけないよ。でも、いろいろ聞いちゃうかも。」

「でしょう?」

二人で話していたら、元気が出た。


知らない間に、エレベーターに乗って、ビルの玄関まで来ていた。

「じゃあ、また明日。」

「はい、お疲れ様です。」

下沢さんに挨拶をして、信一郎さんとの待ち合わせ場所に向かった。

今日はどこに行くのかな。

すごく楽しみで、残業したことも忘れてしまった。


しばらくして、向こう側に信一郎さんを見つけると、私は走り出した。

「信一郎さん!」

「おっ、芹香。走って来たのか。」

あまりの元気の良さに、信一郎さん驚いたみたい。

「だって、信一郎さんに会えるんだもん。」
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