海色の世界を、君のとなりで。

「私も……好きだよ」


これくらい甘い方が、と続ける可奈に箸を返して、「ありがとう」と卵焼きのお礼を言った。

可奈は丸い目を少しだけ細めて、うん、と呟く。


しばし静寂が流れる。

気まずさはまったくなかった。

そういうところも、きっと親友だからなのだろう。

二人きりになって沈黙の状態でも気まずさを感じないのが親友だと、いつか読んだ本に書いてあったような気がする。

まさにその通りだと、可奈という親友がいる今なら断言できる。


毎日飲んでいるせいで、もはや相棒とも言える甘めのミルクティーを喉に流し込みながら、頭上に広がる蒼穹(そうきゅう)を見上げる。


今日の空も、青一色だ。

雲一つない、澄み渡る綺麗な青空。

< 65 / 323 >

この作品をシェア

pagetop